(2009年12月30日に、貨物1キロの損害賠償限度額が17 SDRから19 SDRに増額された経緯を説明して下さい。)

Q.
2009年12月30日に、貨物1キロの損害賠償限度額が17 SDRから19 SDRに増額された経緯を説明して下さい。 (2010.2.28)
A.
モントリオール条約は第24条で、今までのワルソー・システムには設定されていなかった消費者物価指数(CPI)の変動による責任限度額のスライド制を導入しています。CPIの変動率の算定はSDRを構成する四通貨(アメリカ・ドル、EUユーロ、英ポンド、日本円)の国の5年ごとのCPI変動率の加重平均によって決まります。消費者物価指数が5年間で10%以上の変動を見た場合には、ICAOは加盟国に通知を出します。過半数の加盟国の反対のないかぎり、新しい損害賠償責任額が決まります。最初の見直しはMC99が発効してから5年目の2009年に行なわれました。CPIの加重平均が13.1%上昇していましたので、次のとおりの新しい損害賠償責任額を定め、各加盟国に通知した結果、反対少数で2009年12月30日より実施しました。

◇旅客の死亡もしくは身体障害: 上限なし
_113,110 SDR (旧額100,000 SDR) を超える損害賠償要求には抗弁権を留保する。
◇旅客の遅延事故: 旅客一人当たり4,694 SDR (旧額4,150 SDR)
◇機内持ち込み手荷物の損害: 旅客一人当たり1,131 SDR (旧額1,000 SDR)
◇預託手荷物の損害: 1kg当たり19 SDR (旧額17 SDR)
◇貨物の損害: 1kg当たり19 SDR (旧額17 SDR)

貨物に関するクレームは、その貨物がワルソー条約運送であれ、ヘーグ改正ワルソー条約運送であれ、グアダラハラ条約運送であれ、MP4運送であれ、MC99運送であれ、すべて1キログラム19 SDRを最高限度額として処理されます。250フランス金フランは19 SDRに等しいとIATAが決議決定をしました。

この他に、貨物の一部滅失 (partial loss) の損害は全量滅失 (total loss) と同様の扱いとなり、貨物到着後14日以内にクレームを申し立てる期限ではなく、航空運送状の発行日から120日以内にクレームを提出すれば良いことになりました。

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