(放射性物質と核分裂性物質の搭載についての質問です。)

Q.
放射性物質と核分裂性物質の混合貨物について解釈が混乱しています。DGRの表 Table 10.9.B “TI and CSI Limits for Freight Containers and Aircraft (10.9.3.5.2, 10.9.3.6.3)” について説明を頂けないでしょうか?.
その他にも、質問が2つあります:
(1)Non-Fissile MaterialとFissile Materialを1個のType A packageで輸送する場合、仮に、
 (a) Non-Fissile MaterialのTIを1.0とし、Fissile MaterialのCSIを1.2とします。
 (b) 搭載に関して、TIが1.0としたNon-Fissile Materialの最低必要隔離距離のみを考慮し、CSIが50以下なのでFissile Materialについては無視することで良いのでしょうか?

(2)2個のType A packagesで、一つがNon-Fissile Material、もう一つがFissile Materialを出荷する場合、Table 10.9.Cに従って、この2つの輸送物間の距離を保たなくてはいけませんか?
ご教授ください。 (2021.9.30)
A.
まず最初に、Table 10.9.B は航空機当たりのTIとCSIの上限を表示しています。
定期便の旅客機については(not under exclusive useチャーター)、non-fissile material及びfissile material共に TIの上限はTI 50。Fissile materialのCSIの上限はCSI 50。旅客機を貨物輸送のためにチャーターする人はいないので、under exclusive useは空欄になっています。 貨物専用機について、チャーターでない定期便については、non-fissile material及びfissile material共に TIの上限はTI 200。Fissile materialのCSIの上限は CSI 50。 貨物専用機をチャーターした場合は、non-fissile material及びfissile material共にTI Limitは「無制限」、CSIの上限はCSI 100となります。

Non-fissile material及びfissile materialの両方を含む貨物を輸送する手順としては、(1) Non-fissile及びfissileのTIを加算し、その和がTIの上限を超えていない確認、 (2) しかる後にTable 10.9.CもしくはTable 10.9.Dの最低隔離距離の表を使用して放射性貨物と旅客・乗員との隔離距離を確認する。すべての貨物のTIの和が、例えば10.0 TIであった場合、旅客との最低隔離距離は165cmとなる。 航空機の下部貨物室の室内高は165cmなので、旅客との最低隔離距離は保てない。従って、この場合、放射性物質の輸送物は相互に必要な隔離距離を「最も大きいTI値に適用する隔離距離の3倍づつの距離」を空けさせる。 最後に (3) CSI指数の和がCSIの限度を超えていないことを確認する。(4) 一つの容器に異なった放射性物質を収納することはAPIOとなり、通常危険物で言う、いわゆるQ計算が必要になる。DGR 10.3.11.4.3を参照。シグマ計算式が2式あり、Special FormとOther FormのAPIOを認めている。Q値は1.0を超えてはならない。危険物申告書にQ値を記載しなくてもよい。

Non-Fissile及びFissile Materialが1個のType A packageに同梱されている。
質問にFissile MaterialのTI指数が表示されていませんでしたね。Fissile MaterialのTIを仮にTI 3.0としましょう。TI の和は4.0 TIとなり、最低必要隔離距離は85cmになります。旅客機の下部貨物室の室内高は165cmありますから、放射性物質の容器が80cmの高さがあっても最低隔離距離は守れます。
要約すると、手続きは:(a) non-fissile及びfissile materialのそれぞれのTIをチェックし、その和が航空機のTI上限値を超えていないこと、(b) fissile materialのCSI値をチェックし、航空機の上限値を超えていないこと。(c) TI値の和に適用する最低必要隔離距離が保てるか確認すること。(d) Q計算を行い、Q値が1.0を超えないこと。(10.3.11.4.3参照)

2個のType A packages, 一つはNon-Fissile、もう一つはFissile.
選択肢は2つあります。隔離距離を適用して離して輸送してもよし、まとめて輸送しても良しです。どちらの選択肢をとっても、個々の包装物のTIの和がTIの上限値を超えてはなりません。 旅客機を使用している場合は、旅客との必要隔離距離を保たねばなりません。 Fissileの貨物については、CSI値をチェックし、CSI上限値を超えてはなりません。旅客との最低隔離距離を保てるかチェックが必要です。Type A容器を隣接して輸送する時は、旅客との隔離距離はTI値の和で算出します。Type A容器が相互に隔離されていれば、旅客との隔離距離は容易くとれます。

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