(DGR 1.5 の教育訓練についての質問です。)

Q.
IATAの公認の訓練校で訓練を受け、所定のIATA のテストに合格し、IATA のDiplomaを授与されていないと、危険物申告書を作成することは出来ないし、危険物の取扱いも出来ないと言うことは事実かと言う質問に対し、2012年9月30日の「良くある質問」の解答では正しい回答であると答えています。

危険物規則書の 1.5 の Training Requirements には、教育訓練を受け、理解度の検証のために試験を実施しなければならない旨が書かれているものの、具体的に IATA デイプロマ資格が必要とまでは言及していません。当然、試験に合格しなければ、危険物を取り扱う資格が無いと言うことですが、この教育訓練は IATA 認定危険物教育訓練校でなくても、また実施される試験は IATA のテストでなくても良いのではないかと思えます。アメリカの或る大学では、ドライ・アイス入りの貨物の輸送について、講習会を開いて、試験を実施し、合格証を発行していると聞いています。また、タイ航空や複数の航空会社がシッパーに対して危険物の教育訓練を行なって、Diploma を発行しているとも聞いています。これらは、有効なのでしょうか? ご教授ください。

また、IATAのDG Communityのウエブサイトに、危険物取扱訓練は必ずしも IATA公認危険物取扱資格の訓練校でなくても良いと書かれていました。公認校でないところで訓練を受け、試験に合格した場合の合格証はIATA公認校で発行する IATA DiplomaやIATA Certificate とは異なるのでしょうか?  (2019.5.31)
A.
危険物取り扱いに関する資格は、ご指摘頂いた 2012年9月30日の私共のホームページの「良くある質問」の回答は現在でも有効な正しい回答です。IATA Diploma 資格が必要とはどこにも書かれていないと言うご指摘は正しくありません。DGR 1.5.0.4 に “A test must be provided following dangerous goods training to verify understanding of the regulations. Confirmation is required of successful completion of the test.” とあるように「テストに合格したと言う確認が必要である。」との記述が「合格証」(Diploma) の交付を物語っています。

DGR Table 1.5.A に表示されているように資格には業種によって Category 1 から Category 12 まで各種あり、更に特化した資格もあります。アメリカの大学のコースはドライ・アイス入りの貨物に特化したコースで、アメリカの運輸省の審査と認可を経て実施していると思います。

IATA は、タイ航空や他の IATA 加盟の航空会社に、外部のシッパーに IATA 規定の教育訓練の実施を許しています。それらIATA加盟航空会社の危険物教育は IATA 公認訓練校と同格、同列と認められています。航空会社の発行する Diploma にも IATAのロゴが入っているものが多いです。

IATA DG Community のwebsiteの “What is an IATA Accredited Training School” の回答の後半のNote以下の文章を間違えて解釈されていると思います。

“Note that some countries have higher standards for training and may require training schools to be approved by the national government. There is no requirement that training be obtained from an Accredited School, however such a school can be expected to deliver good quality training.” 正しく日本語に訳すと、「ある国では教育訓練に付いてより高い水準を定めていることに留意しなければなりません。(木下 注: 例としてアメリカやイギリス) そして、そのような国では、訓練校は国の認可が必要になっています。訓練は IATA公認校でなければならないと言うことではなく、そのような学校は良い品質の訓練を行なえると期待出来ます。」となります。解説すると、”アメリカやイギリスの場合、訓練校はIATA水準より高い水準での訓練が政府によって義務付けられているので、アメリカやイギリスの訓練校はIATA公認校でなくても、そこで受けた訓練は有効である。” と読むのです。 “There is no requirement that training be obtained from an Accredited school” だけを抜き出して解釈してはなりません。その文章の前段が前提になります。独立した文章ではありません。一部分だけ抜き出して解釈してはいけません。

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