(包装基準 PI 200について教えてください。)

Q.
(1) 包装基準 PI 200に使用されているシリンダーは国連容器と言う認識で間違いないでしょうか?

(2) 容量によって梱包が異なる。この認識で間違いないでしょうか?包装基準PI 200 の冒頭に “1L 以下の容量のシリンダーは、容器の容量と使用目的に関連した充分な強度の材質と設計から作られている外装容器に包装しなければならない” と記載がありますが、以下の認識で間違いないでしょうか? 1Lまたは 1kg以下のシリンダーは内装容器として扱われ、外装容器に入れなければならない。理由: シリンダーが小さくマーキング、ラベリングを施すのが困難なため。1L 又は1kg 以上については、本来、シリンダーの状態で輸送が可能であるが、取扱いの観点からオーバーパックしなければならない。

(3) 申告書に記載する数量はシリンダーの正味重量を記載することでよろしいでしょうか? (2018.5.31)
A.
(1) 包装基準 PI 200は、国連規格のシリンダーとは限りません。国連規格のシリンダー の規格マーク (DGR 図 6.4.A UN Specification Marking – Cylinder (6.4.2.7.2) 参照) を表示出来るのは、DGR 6.4 のすべての構造要件を満たし、DGR 6.4.2 のテストに合格したシリンダーのみです。DGR 6.4 の国連規格は、2004年に新しく導入され、今まで使用する事が可能であったシリンダーは使えなくなってしまうのかと業界に大きな問題を投げかけました。UN ICAOとIATAはDGR 6.4.3 “国連規格でないシリンダー” (Non-UN Cylinder) の項を設け、各国の国内法 (日本の場合は “高圧ガス法”、アメリカの場合は “49 CFR 178” (政府例外規定 USG-06参照)) で認められているシリンダーの使用を認めました。但し、それらに国連規格のマークを表示することは禁じました。私は航空会社の知人に頼んで国連規格マークの入ったシリンダーが来たら、写真を撮って教えて欲しいと頼んだのですが、10年以上経過しても国連規格のシリンダーは一本も現れていません。1956年に国連容器が初めて業界に現れた時の興奮はシリンダーの時は起きなかったのです。国連規格を取得する手間、且つ、費用が掛かり、国連規格でない安価な国内規格のシリンダーを引き続き使用する風潮が定着してしまったのでしょう。包装基準 PI 200の冒頭に「6.4の規定に従って製造されたシリンダーは表200.A及び200.Bに特定されている物質の輸送に使用が認められている。UNの承認が無く、且つ、UNマークの表示も無いシリンダーは、当該シリンダーが認められ、内容物が充填された国の然るべき機関のデザイン、構造、試験、許可並びにマークが付されていれば、使用が認められる。」と国連規格のシリンダー及び国連規格でないシリンダー、双方の使用を認めています。と言う訳で、包装基準 PI 200は、即、国連規格シリンダーとは言えません。DGR 6.4の規定、構造、試験、表示をすべて満たしたシリンダーのみが国連規格シリンダーとなります。

(2)容量によって梱包が異なるのではなく、内容物によって梱包が変わるが正しい表現だと思います。シリンダーは、大小を問わず、外装容器です。国連規格の DGR 6.4 の規定を満足させ、国連規格マークが付いていれば、容量が 1リットル以下であっても、立派な国連の外装容器です。国内法の規格の容器は DGR 6.4.3 を満たし、包装基準 PI 200 を満足させていれば、立派な外装容器です。

質問に、1 リットル又1キログラム以下と書かれていましたが、包装基準 PI 200の冒頭にありますように 1リットル以下のみが対象になっています。1キログラム以下の規定はありません。マーキング、ラベリングを施すのが困難なためと言うよりも、包装基準 PI 200に書かれているように、「(小さい) シリンダーは、通常の輸送の条件下で、外装容器 (オーバーパック) の中で顕著な動きをしないようクッション材を入れるとか、固定されていなければならない。」と言うことが主な理由です。

1リットル以上のシリンダーの場合、強固なバルブ・キャップでバルブが保護されていれば、シリンダー単体で輸送しても差し支えありません。また、二、三本並べて、受け皿のようなオーバーパックに寝かせて輸送しても構いません。必ずオーバーパックしなければならないと言うことではありません。

(3)デクラに記載する数量はシリンダーの正味重量です。

なお、アメリカ向けには 49 CFR 178 (政府例外規定 USG-06) を守らなければなりません。

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