(ニッケル水素電池(Nickel-metal hydride Batteries)に関する質問です。)

Q.
シッパーがニッケル水素電池で稼働する加温保冷装置 (Nickel-metal hydride battery
powered temperature controlled storage) の稼働状態での輸送を希望しています。特別規定 SP A123 を調べましたら、装置は意図しない作動(unintentional activation)をしないよう、保護されていなければならないとなっています。シッパーの見解としては、意図しない作動とは「機器本来の設定とは異なる状態」になることで、そのような作動をしないように保護されていれば、機器を作動させたまま輸送できるのでは、と言っています。更に、SP A123 を調べましたら、「機器の場合、電池の接続を断ち」との記載があることから、「機器は作動させた状態では輸送出来ない」と解釈しました。どのように処理すればよいか、ご教授ください。

また、DGR 4.2の青いページでUN3496 Batteries, nickel-metal hydride を調べましたら、SP A199 に行き当たりました。SP A199によると、“この国連番号 UN3496 は海上輸送のみに適用になる。 ニッケル水素電池、もしくは、ニッケル水素電池を電源として作動する、器具、機器、車両で危険な程度の熱を発散する可能性のある物件は、下記を防止する策が採られていれば、本規則の適用を受けない:

(a) 短絡 (例えば、バッテリーの場合は、露出した端子を効果的に絶縁する。また、機器の場合は、バッテリーを取り外し、露出した端子を保護する、そして、

(b) 予期せぬ作動
AWBの物件を記入する欄にDGR 8.2.6 で要求されている “Not Restricted” の文言と、この特別規定の番号を記載する。“ となっています。

UN3496 Batteries, nickel-metal hydride は海上輸送のみに適用になるので、SP A199 も同様、海上輸送のみに適用になり、ニッケル水素電池は稼働状態で航空輸送しても差し支えないと読めます。ニッケル水素電池で稼働する加温保冷装置 (Nickel-metal hydride battery powered temperature controlled storage) からは稼働中微弱な電磁波が出ますが、航空機の運航を妨げるものではなく、稼働したまま、輸送が可能と判断します。ご教授ください。 (2019.1.31)
A.
ニッケル水素電池 (Nickel-metal hydride batteries) は”UN3496 Batteries, nickel-metal hydride” で特別規定 SP A199が適用になります。特別規定SP A199 を調べますと、“この国連番号 UN3496 は海上輸送のみに適用になる。 ニッケル水素電池、もしくは、ニッケル水素電池を電源として作動する、器具、機器、車両で危険な程度の熱を発散する可能性のある物件は、下記を防止する策が採られていれば、本規則の適用を受けない:

(a) 短絡 (例えば、バッテリーの場合は、露出した端子を効果的に絶縁する。また、機器の場合は、バッテリーを取り外し、露出した端子を保護する、そして、

(b) 予期せぬ作動
AWBの物件を記入する欄にDGR 8.2.6 で要求されている “Not Restricted” の文言と、この特別規定の番号を記載する。“ となっています。

バッテリーを外すのですから、機器は全く作動しません。

温度調節やデータ記録のため、全行程中、稼働させていなければならない電子器具や装置の輸送には、他に満たさなければならない要件があります。詳しくは、「トピックス」欄の12行目の “Guidance on the Use and Carriage of Battery-Powered Data Loggers (Feb. 1, 2017) の Page 5 から Page 6にある “Recommendations on Shipping Active Devices” を参照してください。それに寄りますと、5項目ばかり、条件を満たす必要があります。概略は、(1) 電子器具及びその周辺機器から制限値以上の電磁波が出ていないこと (RTCA/DO-160 Environmental Conditions & Test Procedures for Airborne Equipmentの定義以内であること)、(2) 電子器具に、飛行中、その作動を停止させることが出来るお互いに独立した装置が2方法設置されていること、(3) 電子器具のメーカーから電子器具の構造、作動などについて詳細なデータが提出されていること、(4) 電子器具から危険な程度の熱が発生しないこと、(5) 飛行中、電子器具から警告信号、ブザー音、ストロボの光などが出ないこと。

航空機の安全運航を阻害する可能性があるとか、通信作業に支障が来ることのない旨確認し、航空会社が最終的な判断を下します。

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