(重合物質 (Polymerizing Substances) とは如何なるものですか?)

Q.
2017年の第58版の規則書で紹介された重合物質 (Polymerizing Substances) とは如何なる物質ですか? 教えてください。 (2016.11.30)
A.
3.4.1.4.1.1 に定義と特質が記載されています。               
“重合物質 (polymerizing substances) とは、安定措置を行なっていない場合、輸送の通常の状況下で、強烈な発熱反応を起こし、結果として高分子 (larger molecules) を形成するか、もしくは、重合体 (polymer) を形成してしまうものを言います。

“重合”とは一つの化合物の二個以上の分子が化学的に結合して、幾倍かの分子量の新たな化合物となることを言います。 

“重合反応”とはモノマー (monomer, 単量体) やポリマー (polymer, 重合体) を反応させて繋ぎ合わせ、目的のポリマーを合成する化学反応のことを言います。例えば、ポリエチレンの単体はエチレンで、複数のエチレン単体を重合化して、ポリエチレン (ポリマー) を作ります。塩化ビニルの単体を重合化するとポリ塩化ビニル(ポリ袋、レジ袋) が出来ます。ナイロンはアミン (amine) とカルボン酸 (carboxylic acid) の重合で作られるポリアミド (polyamide) で、作られたポリアミドで合成繊維や合成樹脂に使われます。人間の体を作っているタンパク質もアミノ酸がたくさん重合したポリアミド (polyamide) の一種です。

 “高分子” には名前の最初に「ポリ」(poly) が付きます。

3.4.1.4.1.2 混合物で重合物質の定義に合致するものは区分 4.1 の Polymerizing substance に割り当てなければなりません。青いページに下記の四品目が新規に加わっています。
UN 3531 Polymerizing substance, solid, stabilized, n.o.s. ★ Class 4.1 PI 459
UN 3532 Polymerizing substance, liquid, stabilized, n.o.s.★ Class 4.1 PI 459
UN3533 Polymerizing substance, solid, temperature controlled, s.o.s.★ Class 4.1 Forbidden
UN3534 Polymerizing substance, liquid, temperature controlled, n.o.s.★ Class 4.1    Forbidden

3.4.1.4.1.3 Polymerizing substances は、包装物の中で、その self-accelerating polymerization temperature (SAPT - 自己加速性重合化温度) が 50℃ 以下である場合は温度管理を必要とし、航空輸送は禁止になります。

Class 2, Class 3, Div. 6.1 及び Class 8 の物質で、航空輸送の通常の状況下で危険な分解もしくは、重合化してしまう可能性のあるものに付いて3.2.6; 3.3.6; 3.6.1.9; 及び 3.8.4で下記の説明が加えられています。「化学的に不安定な物質は、輸送の通常の状況下で危険な分解もしくは重合化を防ぐ必要な措置が採られていないかぎり、輸送は禁止される。必要な措置については特別規定 SP A209 を参照すること。特に、容器やタンクにかかる反応を起こしたり、助長したりする物質が入っていないか確認しなければならない。」

特別規定 SP A209:- 『化学的な安定が図られている場合、輸送の目的で貨物を仕立てる者は、包装されている物質が輸送途上、大部分の間、平均50℃ の温度に於いて、危険な重合化を起こさぬよう、安定の度合いが充分であることを確認しなければならない。輸送の考えられる期間において、それよりも低い温度で化学的安定性が失われると思われる場合には、温度管理を必要とし、その物質の航空輸送は禁止される。』

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