(危険物申告書にサイン出来るのは危険物取扱資格保持者のみと解釈していましたが、御社の2010.3.31の『よくある質問』欄にその必要はないとありますが、重ねて、本当でしょうか?)

Q.
取引先のメーカーから「社内にディプロマ保持者が居なくても、DGRに規定されている知識さえ持っていれば、危険物申告書を作成・署名しても法律上問題はない」と言う理解を持っていると聞きました。このメーカーさんの理解は正しいでしょうか? もし、理解が間違いであるとすると、日本の国内法で「荷主は、危険物資格保持者であること」と言ったような規定はあるのでしょうか?  (2012.1.31)
A.
メーカーさんの解釈は間違っています。危険物貨物には、荷送人が危険物申告書を作成・添付して輸送を依頼しなければならない国際的な取決めがあります。

これは国連の国際民間航空機構(ICAO)が定めた規定で日本国も批准・遵守しています。危険物申告書の作成には危険物の輸送と取扱の規定を熟知した危険物貨物取扱資格保持者が行う事に規定されています。署名はそれぞれの会社の内規により、対外的な文書は、社長、担当取締役、担当部長、或いは、担当課長とそれぞれの会社で定めています。これはあくまでも会社の組織上の取決めであって、資格の有無とは関係ありません。勿論、社長自ら危険物取扱の資格者である事は望ましい事ですが、それは条件ではありません。

下役の資格保持者が作成した危険物申告書を上司である権限を持った会社を代表して対外文書に署名できる資格のある者が署名するのは当然の事と思います。虚偽の申告、申告の誤りには罰則(罰金並びに禁固刑)があります。生半可な聞きかじりの知識で申告書を作成されては、安全が著しく阻害されます。しっかりと危険物取扱の訓練を受けるようにそのメーカーさんに伝えてください。そしてその訓練を受けたものが申告書を作成します。誰が署名するかは会社の内規です。

危険物の輸送に関する法規は国土交通省航空局の管轄で、メーカーさんは経済産業省の管轄に入ります。そのために若干の温度差はありますが、日本国として国連ICAOに賛同している以上、日本国としてICAOの規定に従わなければなりません。国際法がそのまま国内法になっている一例です。

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